震災後の現実を生きるーーー御手洗瑞子『気仙沼ニッティング物語』

著者は、手編みのセーターやカーディガンを作る「気仙沼ニッティング」の社長。大学卒業後マッキンゼーに就職。その後、ブータンの首相フェローとして産業育成の仕事に携わった経歴の持ち主。東日本大震災が起きたことをブータンで知った著者は、「日本人として、いまは日本のために働くべきではないか」と考え、帰国後現在の事業を始める。

以下、気になったところを本文から引用

 

仕事がなく、自分の足で立つことのできない状況というのはこれほど辛く、自尊心を奪ってしまうものなのか 

 

震災後の生活を現実として生き、新しい仕事を得て「よし、がんばるぞ!」と腕まくりをしている人のところにきて、「流された家の前で茫然としてください」と依頼し、「仮設住宅が背景でないと番組が成立しないのです」と言うのはいかがなものでしょうか。

 

現場は報道で見るよりも、ずっと明るくたくましいです。きっと、少しほっとすると思います。それに、友達ができて、また来たくなるかもしれない。なにしろ面白い人たちがたくさんいます。そういう自然な交流が生まれていった方が、東北はずっと元気になると思うのです。

 

気仙沼ニッティングにも、気仙沼の街にも、著者に対しても大変興味がわいてきた。ぜひ気仙沼に行ってみたい。

 

気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社

気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社