2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

震災後の現実を生きるーーー御手洗瑞子『気仙沼ニッティング物語』

著者は、手編みのセーターやカーディガンを作る「気仙沼ニッティング」の社長。大学卒業後マッキンゼーに就職。その後、ブータンの首相フェローとして産業育成の仕事に携わった経歴の持ち主。東日本大震災が起きたことをブータンで知った著者は、「日本人と…

うちに帰りたい、ただそれだけなのだーーー津村記久子『とにかくうちに帰ります』

表題作がいい。大雨の中、やむを得ず事情から歩いて帰ることになった人たちの話。人の思いや、出来事を大げさでもなく、なかったことにもせず、丁寧に言葉にしていく。読後に感情が大きく動くわけではないけど、じんわりと暖かく、読む前よりちょっと前向き…